粒あん・こしあんとは違ってた?どら焼きに使われるのは実は「銅鑼焼き餡(どらやきあん)」だった!

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参考図書
『決定版 和菓子教本』日本菓子教育センター編 全国和菓子協会監修/誠文堂新光社

「そういえば、どら焼きってほとんど粒あんだけど何でだろう?」
「こしあんのどら焼きってあまり見たことなかったな・・・」

飯能市・入間市の和菓子屋で美味しいどら焼きを紹介するために、計10店舗分のどら焼きを買い求めた時にふとギモンが湧きました。

※ちなみに、飯能市の和菓子屋版入間市の和菓子屋版(←それぞれリンク先の記事にとびます)と2記事あるので、ぜひ参考にしてみてください。

自分の知る限り、全国規模で有名な会社で販売されているこしあんタイプのどら焼きは「文明堂の塩どら焼き」だったと記憶しています。
「塩どら焼き」は文明堂武蔵村山工場敷地内にある文明堂壹番館の中で販売されていますが、公式HPのオンラインショップでは取り扱っていないようです。

ただ最近はスーパーでもこしあんタイプのどら焼きを見かけるようになったので、こしあん派の人にとっては嬉しい流れですね!

 

どら焼きに使われる「銅鑼焼き餡(どらやきあん)」とはどんなあんこ?

「決定版 和菓子教本」によると、どうやら「銅鑼焼き餡(どらやきあん)」というあんこが存在することが分かりました。

名前の通りどら焼きに使うあんこで、いわゆる「粒入り」タイプです。
では、「粒あん」とはどう違うのでしょうか?

 

結論から言うと、銅鑼焼き餡(どらやきあん)と粒あんの違いは・・・

    1. 材料
    2. 工程
    3. 糖度(砂糖の含有割合)

の3つです。

 

銅鑼焼き餡(どらやきあん)と粒あんの違いを解説

銅鑼焼き餡(どらやきあん)と粒あんの違い一覧表でまとめてみました。

  銅鑼焼き餡
(どらやきあん)
粒あん
材料 小豆 1500g
白双糖 1230g
水 700g
小豆並餡 1650g(糖度50度)
葛粉 17g
水飴 200g
小豆 1500g
白双糖 770g
水 250g
小豆並餡 940g(糖度50度以上)
水飴 280g
工程
※比較のため、かなり簡略化してあります
小豆を煮て渋切りをする
→分量外の糖蜜(砂糖水)に小豆を入れ30分ほど煮て糖蜜を1.5~2時間ほど浸透させる
→一旦小豆を出して糖蜜を煮詰める
→再度小豆を入れて沸騰したら加熱を止める
→一晩寝かせる
適量の糖蜜を作り、沸騰したら小豆並餡を数回に分けて入れる
→餡がなじんだら葛粉を入れる(※場合により寒天でも良い)
→蜜漬豆を3回くらいに分けていれるが、2回目の蜜漬豆のあとに水飴を入れる
→残った蜜漬豆を入れて練り上げる
小豆を煮て渋切りをする
→分量外の糖蜜(砂糖水)に小豆を入れ30分ほど煮て糖蜜を浸透させる
→一晩寝かせる
→分量の水など、残りの材料を入れて練り上げる
糖度
(練り上げ後の最終糖度)
57~58度 51~58度

※分量は、本に記載されているプロ向けの最低限の分量となっています。

最初に小豆を洗って煮たたせて渋切り(渋味や苦み成分を捨てるために煮汁を捨てること)をする辺りまでは同じ工程です。

糖蜜(いわゆる砂糖水)を浸透させるところから、銅鑼焼き餡(どらやきあん)と粒あんの工程に違いが出てきました。

ここでは最終的な糖度のみを載せましたが、プロ向けの工程では小豆を付ける糖蜜にもそれぞれ糖度が設定されていました。

一般家庭で再現するには、糖度を測定する機器みたいなモノがないと難しいですね・・・(^^;)

和菓子に使われるあんこ7種類をそれぞれ解説

小豆を使ったあんこは、全部で7種類ありました。
※厳密に言うと、最中餡(もなかあん)だけは「大納言」です。

それぞれ、見てみましょう!

名称 特徴・使用目的 材料
小豆並餡
(しょうずなみあん)
【並餡】
生餡100に対して配糖率(砂糖を加える割合)が60前後のもの基本的な小豆並餡の漉し餡(こしあん)桜餅・羊羹・お団子などさまざまな菓子に利用
北海道産小豆 1500g
白双糖 1350g水(アルカリ水) 約800g※使う水は、硬度が低くpH7.2~8程度が良い
粒餡
(つぶあん)
基本的な餡

 

小豆の粒をつぶさずに豆の形が残るように仕上げる

北海道産小豆 1500g
白双糖 770g
水 250g
小豆並餡 940g(糖度50度以上)
水飴 280g
潰し餡
(つぶしあん)
小豆の粒を残すが、若干煮崩した形で仕上げる

 

おはぎ・草餅・豆大福などに使われる

※材料を見る限り、あずき缶や真空パックの小豆はこのタイプだと思われます

北海道産小豆 1500g

 

グラニュー糖 1700g

銅鑼焼き餡
(どらやきあん)
小豆に小豆並餡・葛粉を混ぜて練り上げる

 

銅鑼焼き(どらやき)のほかに、艶袱紗(つやぶくさ)・カステラ蒸しなどにも使われる

北海道産小豆 1500g
白双糖 1230g
水 700g
小豆並餡 1650g(糖度50度)
葛粉 17g
水飴 200g
ネキ餡
(ねきあん)
ネキ=水飴

 

水飴が多く入った餡

教本の中にはネキ餡を材料とする菓子の記載なし

小豆並餡 1000g(糖度50度)
白双糖 150g
水飴 125g
糸寒天 3.75g
水 約250g(並餡の硬さで増減)
中割餡
(ちゅうわりあん)
【中割餡】

 

生餡100に対して配糖率(砂糖を加える割合)が70前後のもの

小豆並餡に砂糖と水飴を加える

焼き菓子などに使用

小豆並餡 1000g(糖度50度)
白双糖 100g
水飴 40g
水 適量
最中餡
(もなかあん)
大納言を使用

 

最中のための餡と言っても過言ではない

北海道産大納言 1500g
白双糖 3000g
水(糖蜜を作るため) 3000g
糸寒天 7.5g
水飴 200g

小豆並餡(しょうずなみあん)に使う水は、軟水・ややアルカリ性の水が良いそうです。
体に良い水(←リンク先の別記事で詳しく書いてあります)は餡にとっても良いんですね。

こうしてみると、桜餅・羊羹・お団子などに使われる「小豆並餡(しょうずなみあん)」や、おはぎ・草餅などに使われる「潰し餡(つぶしあん)」は小豆に対する砂糖の割合が高いです。

最中餡(もなかあん)に至っては、大納言に対して2倍の白双糖が使われています!!

砂糖の割合で保存日数が変わる、と地元の和菓子屋店主から聞きました。
「糖蔵(とうぞう)」という原理ですね。

【糖蔵(とうぞう)】
多量の糖分を加えることにより、脱水作用や高浸透圧作用によって微生物の繁殖をおさえる保存方法
※秋田県食品加工ガイドブックより一部引用

砂糖が多い分意外とカロリーはあります。
ですが、和菓子がヘルシーなのは以下の理由でしょう。

  1. 小豆が低GI食品なので「血糖値の上昇がゆるやか」
  2. 材料の小豆にはイソフラボンなどの栄養素がある
  3. 脂質がほとんどない

個人的には、「お値段がお手頃」というメリットも大いなる魅力だと思っています!

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